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しばらく前に、非医療従事者の知人から電話で相談を受けた。
知人の友人の配偶者の病気のことで。
とある悪性腫瘍で入院治療しているが、
どこそことかどこそかとかに転移がある。
治療もやるだけのことはやった、
もううちでは治療できないから退院を、と言われたと。
若い知人の友人だから、まだ30代前半ぐらいの若さだ。
相談内容は、治療法が間違っていたのではないか、
主治医がすごく若い、まともな治療をしているのか疑問だ、
さらにはもうしようがないから家に帰れとはどういうことか、
どこか他にいい医者はいないだろうか、
とかいう話だった。
又聞きの話ではあるけれど、かなりの憤りモードに聞こえた。
専門外の私でも知ってるような、かなり予後不良の悪性腫瘍だった。
うまく伝わるかかなり不安だったけれども、
その腫瘍は、おそらく医者なら誰でも知っているぐらい
進行が早くて、治療にもあまり反応せず、あっという間に命を落としてしまうために
恐れられている腫瘍のひとつであり、
私の個人的な意見ではあるけれども、
もしも自分がその病気にかかったとしたら、運命だ、と思おうと考えている腫瘍のひとつだ。
治療のやりようによっては治るのでは、と考えるのも無理はないが、
お話を聞く限りでは、もう相当進行していて、このまま体力を消耗する抗がん剤を続けるよりも
あえて治療をやめて、家で過ごしたほうがいいという判断なのだろうと思う。
主治医については、その規模の病院なら主治医の一存で治療方針を決めることはない、
必ず医局のスタッフみなで相談して標準的な治療をしているはずだ。
いろいろ疑問や憤り、何か他の画期的な治療を模索したいという気持ちもあるかもしれないが、
今はそんなことにエネルギーを費やすより、
おそらく残り数ヶ月であろう貴重な時間を、夫婦での思い出作りに使ったほうがいいと思う、
病院を探すとしたらホスピスを探されたほうがいいかもしれない、
是非そちらの方向で考えて欲しい、と
伝えてもらうようにいった。
電話を切った後も、医者のかばいあいとか言い訳とか、
他人事だと思って絶望的なことを軽々しく言いやがって、などととられていないかと
不安になった。でも、私の心からのアドバイスだ、と思った。
その後知人経由で経過を聞いた。
あの時相談しておいてよかった、と。
おかげで残りの時間を有意義に使えた、と。
実際にご本人たちから話を聞いたわけではないので、
そうは言ってもいろいろな葛藤や苦しみがあっただろうとは思う。
私に聞こえていないだけで、いろいろ思うところはあるかもしれない。
でも、とりあえずは、
そんな、難しい病気に若い主治医なんて!
治療をしているのにどんどん悪くなって、挙句もう治療できないなんて!
そんなのおかしい、しかるべきところに相談するべきだ、
なんて話にならずにすんでよかったなと、
自分としては思っている。
こんな話も、うまく医者にうまく言いくるめられたな、なんてとり方をする人が
いるんだろうかな。
治療経過に納得いかないんだから、徹底的に「真実」を究明するべきだ、なんてアドバイスをする人がいるんだろうかな。
そして、そういう方向にエネルギーを使うことが、
悲しい運命に見舞われた若いご夫婦の心の安寧に、果たしてつながるんだろうかな。
例の、配偶者を失ったご遺族たちのことを考えてしまう。
予期していなかった突然の別れであるか、
じわじわ経過していく悪性腫瘍による別れであるか、
その時間因子のせいで運命を受け止めるにあたっての困難さが
まったく異なるんだろうけれども、
できることなら、怒りや苦しみ増幅システムに入り込んでしまったご遺族たちにも、
心が落ち着く日が来ることを祈ろうと思う。
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